Amulette_Vol8

Topic産後の尿もれ

産後だけでなく、女性のライフステージで問題となる「尿もれ」についてお伝えします。
尿もれは年をとってからのトラブルではありません。そして「当たり前」でもありません。尿もれは「ない」が普通のことであり、「ある」を当たり前にしない考えが大切です。また、産前産後だけではなく、思春期であっても起こりうるトラブルです。またスポーツによる問題や急な成長に伴う場合にも起こりうるトラブルです。
今回は、悩みであるにも関わらず誰にも相談できない?「尿もれ」についての情報です。

産後の尿もれは、妊娠期におなかが大きくなり子宮が膀胱を圧迫したりすることで、おなかの臓器を守る働きをする骨盤底筋に負荷がかかったり、また分娩の際に骨盤底筋が伸ばされたり、傷ついたりすることなどを原因に生じることがあります。
骨盤底筋とは、骨盤の一番下(底)の部分のある筋肉で、膀胱・子宮・直腸などの内臓を支えています。また、おなか周りにある体幹筋のインナーマッスルとして、からだの安定性や呼吸に関連した役割をもっています。そして、排泄を調整する役割として、尿道や肛門を締める・緩めるなどの働きをしています。

そのような多くの重要な役割を担っている骨盤底筋が、妊娠・出産の際に、大きなダメージを受けてしまうことがきっかけで尿もれを起こしてしまうことがあります。
多くの場合、産褥期(産後6週〜8週)を過ぎる頃までに徐々に軽減していきますが、その後、お子さんを抱きかかえるとき、クシャミをしたとき、物をもちあげるときなどを契機に、尿もれを起こすことがあります。ときには、お風呂上りに「湯もれ」として膣からお湯が出てくる経験をされる方もいらっしゃいます。
骨盤底筋は、手足の筋肉と同じような骨格筋ですので、若かったり、運動したりすることで回復します。しかし、妊娠・出産をしたことによるダメージはあるため、加齢とともに尿もれが現れてくる方が多くいます。やはり、自然任せでなく、産後のケアとして回復に努めることが重要です。また、骨盤底筋の弱化は加齢とともに他の症状を引き起こすリスクにもなり得ます。
骨盤底筋体操のやり方もSNS等で検索して自分なりに行っている方もいると思います。しかし多くの方が誤った方法で実践しているようです。尿れもが改善しない方は、一度適切な方法を専門家に診てもらいことが良いでしょう。

※最後までお読みいただきありがとうございます。内容については、誤解が生じないよう学術的背景等をもとに細心の注意を払っていますが、すべての方に対して、情報の正確性、完全性、有用性について保証するものではありません。可能な限り有益な情報を配信できるよう努めておりますこと、ご理解くださいますようお願いいたします。

〜けんさんから一言〜

日常会話の中で、尿もれについての相談を当たり前にはなかなかできないと思います。しかし最近ではメディアが取り上げることも多くなっているようです。
私も骨盤底筋の話を子育て支援センターや地域高齢者に指導を行うことがありますが、9割近くの方が誤った方法で行っています。まずは、正しい骨盤底筋の動きを知ることから始められると良いですね。尿もれに関しては、今後、細かくお伝えしていきたいと思いますが、もし尿もれ症状にお悩みの方は、理学療法の日にお声がけください。
それでは、次号も楽しみにしていてくださいね。


★この記事を書いた人★

国保依田窪病院 理学療法士 山﨑 健一(けんさん)

ウィメンズヘルス・メンズヘルスの専門分野を学んでいます

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