Amulette_Vol10

Topic腹直筋離開のお話

腹直筋離開?何それ?離開?怖い!と思った方もいらっしゃるかもしれませんね.
腹直筋離開は、妊娠でお腹が大きくなることで、腹直筋(シックスパックの筋肉)が緩んで左右が引き伸ばされる状態のことです.
産後、おなかにぽっこりした膨らみがありなかなか治らない、腹筋の割れ目に凹みがあるなど思っている方は腹直筋離開の可能性があるかもしれません.
でも、これ女性だけではなく、恰幅の良い男性、からだをねじる動作の多い方にもみられやすいものでもあります.
ということで、今回は妊娠中から産後にみられる腹直筋離開についてお伝えします.

腹直筋離開は、妊娠後期の妊婦さんの6割以上の方が経験すると言われています.また産後6ヶ月から12ヶ月の間に4割程度に減少すると言われています.ということは、産後1年経過しても腹直筋離開を有している方もいるということですね.
ちなみに、BMIや妊娠中の体重の増加、腹囲の長さ、新生児の体重などとの関係性はないようです.
腹直筋離開は、下図のように、腹直筋の真ん中に膨らみや凹みなどがみられます。図のようにいろいろな場所に見られます.セルフチェックとして、おなかに力をいれずリラックスした状態でお腹に真ん中に指をあて、左右の筋肉の間が開いていないかを確認してみるのも良いでしょう.

代表的なもの

①通常の腹直筋
②おへそまわりの腹直筋離開
③おへそ下の腹直筋離開
④みぞおちの腹直筋離開
⑤おへそ上の腹直筋離開

それでは、腹直筋離開がある場合の対処方法について簡単に記します.
まず、産後は腹直筋離開を有している割合が多いので、いわゆる腹筋運動(頭を挙げる、足を挙げる)は避けた方がよいでしょう.腹直筋離開の有無に限らず、大変重要なのが、インナーユニットのトレーニングです(腹圧を高め調整したり、姿勢を整えることやからだを安定するために必要な筋肉).

インナーユニットのトレーニングには腹式呼吸が重要となりますので、産後の運動の導入としては腹式呼吸からすすめるとよいでしょう.また段階的に腹筋の活動を高めることが推奨されますので、おなかの状態にあわせて適切な介入が必要となります.個人の状態によって時期的にもできることが異なりますので、このような状態が気になる方は、専門家に診ていただくことがよいでしょう.

※最後までお読みいただきありがとうございます。内容については、誤解が生じないよう学術的背景等をもとに細心の注意を払っていますが、すべての方に対して、情報の正確性、完全性、有用性について保証するものではありません。可能な限り有益な情報を配信できるよう努めておりますこと、ご理解くださいますようお願いいたします。

〜けんさんから一言〜

今回は、案外知られていない腹直筋離開についてのお話でした.ぽっこりおなかだと思って一生懸命腹筋をしていたなんて方もいらっしゃいます.妊娠によりおなかまわりは大変おおきな負担がありますのでそのケアも大事ですね.特段、恐れるものではありませんが、適切に対応することで、回復を促すことにつながることも多くあります.今回の話にも出てきた「インナーユニット」「腹式呼吸」これは産後から知っていただき、そして上手に行っていただきたい代表的なものです.産後上手く活動できないままの方が多くいらっしゃいますので、ぜひコツを掴んでほしいと思います.
それでは、次号も楽しみにしていてくださいね。


★この記事を書いた人★

国保依田窪病院 理学療法士 山﨑 健一(けんさん)

ウィメンズヘルス・メンズヘルスの専門分野を学んでいます

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