Amulette_Vol14

Topic尿もれのお悩みありませんか?

産後の尿もれについて以前に取り上げましたが, 尿もれや頻尿で悩まれる方は少なくありません.といいますか,「これって当たり前だよね?」 「時間が経てば治るかな?」なんて思っているママさんもいらっしゃるのではないでしょうか.
答えとすると,「No!」です.
確かに,産後は一時的に尿もれが起こる可能性が高い時期ではあります. また,ある程度の期間で症状がなくなる方が多いです.
しかし、専門家として「ちょっと待った」 のお話をします.

妊娠期は,児の成長に伴い子宮が大きくなります. 子宮は膀胱の上におんぶするような場所にありますので子宮が大きくなるにつれ, 膀胱は圧迫され, 尿もれや頻尿になりやすくなります. 産後の子宮は産褥期を経て徐々にもとの大きさに戻っていきます .
妊娠中, お腹が大きくなることで, からだの 「底」 にある骨盤底筋には長期間の負担が強いられることになります. また出産 (経膣分娩) により, 骨盤底筋は想像以上に伸張されますので, 負担が生じます.
このようなことから, 産後は多くが尿もれを起こしやすい状態であるということです.ということは,出産を機に骨盤底筋の機能を戻していくことが必要になるわけです. 多くの方が若いので,骨盤底筋の筋力も戻りやすく, 時間の経過とともに尿もれがなくなるということが多くあります.

一方で, 咳やクシャミをしたとき,お子さんを抱っこしようとしたとき, 少し小走りしたとき,または, お風呂あがりの湯もれなど, 日常生活に大きな支障はないものの、継続的に症状が続いている方も少なくなく,「あたり前」 や相談できずにいるという方がほとんどです.
このような症状は、骨盤底機能障害として立派な問題であり, 産後は子育てに追われ, そして社会復帰, 更年期へと時間が過ぎていきます. 年を重ね筋力低下が起こり,加齢に伴うトラブルに至ると言われています。「尿もれ」は,あたり前ではありません. 「産後」 のこの時期から, からだの土台でもある骨盤底筋をケアし鍛えていくことが重要になります。
情報はたくさんありますが、 実際 「誤った方法」 でトレーニングしてる方も多くいます. また産後間もない時期は負担をかけない方法も必要となります。 症状は同じであっても,かだらに起こっていることや背景はそれぞれです.
また、骨盤底筋のトレーニングだけですべてが解決するわけではありません. 姿勢や生活習慣の見直しも骨盤底筋への負担を減らすために重要です.

※最後までお読みいただきありがとうございます。内容については、誤解が生じないよう学術的背景等をもとに細心の注意を払っていますが、すべての方に対して、情報の正確性、完全性、有用性について保証するものではありません。可能な限り有益な情報を配信できるよう努めておりますこと、ご理解くださいますようお願いいたします。

〜けんさんから一言〜

私ごとではありますが, 産前産後 骨盤底リハビリの学びをしていましたが,先日, 一社) 日本ウィメンズヘルス・メンズヘルス理学療法学会主催の骨盤底理学療法の全課程を修了しました.また、昨年末に、当院泌尿器科で骨盤底リハビリ外来を開設しました.
骨盤底機能障害に関しては、より専門的な知識・技術の提供が行えますので、悩みがある, 相談できていないという方は、 「理学療法士の日」にご相談ください.
それでは、次号も楽しみにしていてくださいね。


★この記事を書いた人★

国保依田窪病院 理学療法士 山﨑 健一(けんさん)

ウィメンズヘルス・メンズヘルスの専門分野を学んでいます

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